民法では、兄弟姉妹以外の法定相続人には、相続財産の一部を受け取る権利(遺留分)が保障されています。
本記事では遺留分侵害額請求について、対象になるものや手続きの進め方と併せて解説します。
遺留分侵害額請求権
遺留分侵害額請求権は、兄弟姉妹以外の法定相続人が、相続で本来もらえる最低限の財産(遺留分)を侵害された場合に、その不足分の金額を他の相続人に請求できる権利です。
遺留分侵害額請求権の対象になるもの
対象になるものには、故人が遺言で指定した財産や生前贈与された財産が含まれます。
遺留分侵害額請求の流れ
遺留分侵害額請求権を行使する際の一般的な流れについて解説します。
相続人や受遺者との話し合い
相続人や受遺者との話し合いは、遺産分割や遺留分侵害の解決において重要です。
まず、相続財産を正確に明確化し、侵害額を計算して把握します。
そのうえで、冷静かつ丁寧に自身の主張を伝え、相手と合意を目指します。
話し合いがまとまった場合は、合意書を作成し、返金額や期日を確定させましょう。
書面で意思表示する
協議がまとまらない場合は、調停や訴訟に進むことが一般的です。
遺留分侵害額請求権には時効があり、相続の開始または侵害を知った日から1年以内に権利を行使しなければなりません。
調停の申し立て
書面での意思表示をしても合意に至らなかった際に、遺留分侵害額の請求調停を家庭裁判所へ申し立てます。
調停は、第三者である調停委員が介入し、話し合いを通じて紛争を解決する手続きです。
申立は、相手の住所地を管轄する家庭裁判所に申立書を提出することで行います。
合意に達した場合、調停が成立し、調停調書が作成されます。
この調書には法的効力があり、強制執行も可能です。
訴訟を起こす
遺留分侵害額請求訴訟を提起する場合、調停が不成立であっても自動的に審判に移行することはありません。
そのため、訴訟を自ら起こす必要があります。
訴訟は裁判所で行われ、法律に関する争いを判決で解決します。
請求額が140万円を超える場合は地方裁判所が、140万円以下の場合は簡易裁判所が第一審を担当します。
まとめ
今回は遺留分侵害額請求について、対象になるものや手続きの進め方と併せて解説しました。
訴訟準備や証拠収集には法的知識が求められるため、弁護士に相談することをおすすめします。
東山法律事務所(大阪府大阪市/北区)|遺留分侵害額請求権とは?対象になるものや手続きの進め方など