養育費の支払いは親の義務であり、原則としてどんな理由があっても、逃れられるものではありません。
しかし、支払い者である相手に「無職だから養育費を払えない」と言われたら、どう対処するべきでしょうか?
今回は、「無職だから養育費を払えない」と言われたときの対処法を解説します。
無職であっても養育費の支払い義務はある
養育費の支払いは、法律上の義務(民法766条1項)であり、無職であっても逃れられません。
しかし、無職で収入がない場合、算定表に従った養育費の目安は「0~1万円」となっています。
参照:養育費・養育費算定表について|裁判所
つまり、無職でも支払い義務はあるものの、支払えないものはどうしようもなく、請求できない可能性があります。
無職でも「潜在的稼働能力」があると認められれば請求できるケースがある
潜在的稼働能力とは、働ける能力があるにも関わらず、労働意欲がなくて働かない場合に、収入を擬制※するという考え方です。
※擬制…実際には違っていても、そうみなすこと
潜在的稼働能力を主張して認められれば、相手が無職であっても、いくらか養育費を請求できるケースがあります。
「無職だから養育費を払えない」と言われたときの主な対処法
「無職だから養育費を払えない」と言われたときの主な対処法は、以下のとおりです。
- 無職である証拠を提示してもらう
- 減額を提案する
- 潜在的稼働能力を主張して支払ってもらう
それぞれ詳しく解説します。
無職である証拠を提示してもらう
そもそも、本当に無職なのか、証拠を提示してもらうことが大切です。
無職になった理由などを詳しく聞き取り、診断書や解雇通知書などを提示してもらいましょう。
減額を提案する
本当に無職で支払いが難しい場合、養育費の減額を提案するのも手段の一つです。
無職であっても、貯金などの資産があれば、最低限の支払い能力はあるはずです。
減額を提案するときは、いつどのタイミングで元の金額に戻すのかまで、話し合うようにしましょう。
潜在的稼働能力を主張して支払ってもらう
無職であっても、潜在的稼働能力を主張して認められれば、これまでどおり養育費を支払ってもらえる可能性があります。
潜在的稼働能力の主張と認定は、弁護士の力を借りるとスムーズかもしれません。
まとめ
無職でも、養育費の支払い義務は消えません。
しかし、無職で支払い能力がない場合は、一時的に請求ができなくなったり、減額に応じたりする必要があることはあります。
もっとも、無職で支払い能力がなくても、「潜在的稼働能力」があると認められたり、貯金などの資産があったりする場合は、請求できるケースもあるため、対処に悩んだときは、専門家である弁護士に相談するのがおすすめです。
東山法律事務所(大阪府大阪市/北区)|「無職だから養育費を払えない」と言われたらどう対処するべき?